【try, except】Pythonでの例外処理の書き方を解説

Python

Pythonの例外処理はプログラムの安定性を高める重要な機能です。本記事では、try-except文を中心に例外処理の基本から応用までを具体的なコード例と共に解説します。エラーが発生しても処理を続行させる方法や、適切なエラーメッセージの表示方法を学び、堅牢なPythonプログラムを作成しましょう。

例外処理とは

例外処理はプログラム実行中に発生するエラーを制御し、適切に対応するための仕組みです。通常、エラーが発生するとプログラムは強制終了しますが、例外処理を実装することで次のことが可能になります:

  1. エラーを検知して適切に対応する
  2. プログラムの実行を継続させる
  3. ユーザーに分かりやすいエラーメッセージを表示する

例外処理の主なメリット

  1. プログラムの堅牢性と信頼性の向上
    • 予期せぬエラーが発生しても、プログラム全体が停止せず継続して動作します
    • 重要な処理(データ保存やトランザクション)を安全に完了できます
    • システム全体の安定性が高まり、長時間稼働するアプリケーションでも安定して動作します
  2. デバッグ作業の効率化
    • エラーの発生箇所と原因を正確に特定できるため、問題解決が迅速になります
    • 開発中に発見されなかった問題も、本番環境で適切に記録されるため、後から修正が容易になります
    • エラーの種類ごとに異なる対応が可能なため、問題の優先順位付けがしやすくなります
  3. ユーザー体験の向上
    • 技術的なエラーメッセージではなく、ユーザーにとって理解しやすいメッセージを表示できます
    • エラーが発生しても代替の処理方法を提供できるため、ユーザーの作業を中断させません
    • 問題が発生した場合でも、ユーザーのデータを保護し、安全に処理を続行または終了できます

try文とは

Pythonの例外処理はtry文を基本として構成されます。try文はエラーが発生する可能性のあるコードを監視し、問題が発生した際の対処方法を定義します。

try文は4つの主要な要素で構成されています:

要素役割必須/オプション
tryエラーの可能性があるコードを囲む必須
exceptエラー発生時に実行される処理必須
elseエラーが発生しなかった場合のみ実行オプション
finallyエラーの有無に関わらず必ず実行オプション

構文

Pythonの例外処理構文は直感的で柔軟性があります。基本的な構文は以下の通りです:

try:
    # 監視対象のコード
    # エラーが発生する可能性のある処理
except 例外クラス1:
    # 例外クラス1が発生した場合の処理
except 例外クラス2 as エラー変数:
    # 例外クラス2が発生した場合の処理
    # エラー変数でエラー情報にアクセス可能
except:
    # その他すべての例外を捕捉
else:
    # try内のコードが例外なく完了した場合に実行
finally:
    # 例外の有無に関わらず必ず実行
    # リソースの解放などに使用

基本的なtry-except文の使い方

ゼロ除算を試みた場合に発生するZeroDivisionErrorを捕捉し、エラーメッセージを表示する例です。

try:
    result = 10 / 0  # ゼロで割るとエラーが発生する
except ZeroDivisionError:
    print("ゼロで割ることはできません")

# 出力: ゼロで割ることはできません

複数の例外を処理する例

ユーザー入力を処理する際に発生する可能性のある複数のエラータイプ(ValueError、ZeroDivisionError)を個別に処理する例です。

try:
    num = int(input("数値を入力してください: "))
    result = 100 / num
    print(f"結果: {result}")
except ValueError:
    print("数値を入力してください")
except ZeroDivisionError:
    print("ゼロで割ることはできません")

# 入力が"abc"の場合の出力: 数値を入力してください
# 入力が"0"の場合の出力: ゼロで割ることはできません
# 入力が"5"の場合の出力: 結果: 20.0

else節とfinally節を使った例

ファイルの読み込み処理で、成功時の処理(else)とクリーンアップ処理(finally)を示す例です。ファイルが存在しない場合はFileNotFoundErrorをキャッチします。

try:
    file = open("sample.txt", "r")
    content = file.read()
    print(content)
except FileNotFoundError:
    print("ファイルが見つかりません")
else:
    print("ファイルの読み込みに成功しました")
finally:
    print("この処理は必ず実行されます")
    try:
        file.close()
    except:
        pass  # ファイルが開かれていない場合はスキップ

# ファイルが存在する場合の出力:
# (ファイルの内容)
# ファイルの読み込みに成功しました
# この処理は必ず実行されます

# ファイルが存在しない場合の出力:
# ファイルが見つかりません
# この処理は必ず実行されます

例外情報を取得する例

IndexErrorが発生した場合に、例外オブジェクトから詳細情報を取得して表示する例です。

try:
    numbers = [1, 2, 3]
    print(numbers[5])  # インデックスが範囲外
except IndexError as e:
    print(f"エラーが発生しました: {e}")

# 出力: エラーが発生しました: list index out of range

注意点

エラータイプを明示する

except節に例外クラスを指定せずに使用すると、すべての例外をキャッチしてしまいます。これはバグの発見を困難にするため、可能な限り具体的な例外クラスを指定しましょう。

# 良くない例
try:
    # 何らかの処理
    result = 10 / 0
except:
    print("何らかのエラーが発生しました")  # どんなエラーか分からない

# 良い例
try:
    result = 10 / 0
except ZeroDivisionError:
    print("ゼロで割ることはできません")  # エラーの内容が明確

# 出力(両方とも): ゼロで割ることはできません

例外処理の範囲を適切に設定する

try文の範囲が広すぎると、どこでエラーが発生したのか特定しにくくなります。例外が発生する可能性のある部分だけをtryブロックに含めるようにしましょう。

# 良くない例
try:
    num1 = int(input("1つ目の数値: "))
    num2 = int(input("2つ目の数値: "))
    result = num1 / num2
    print(f"結果: {result}")
except:
    print("エラーが発生しました")  # どの処理でエラーが発生したのか分からない

# 良い例
try:
    num1 = int(input("1つ目の数値: "))
except ValueError:
    print("1つ目の入力は数値である必要があります")
    exit()

try:
    num2 = int(input("2つ目の数値: "))
except ValueError:
    print("2つ目の入力は数値である必要があります")
    exit()

try:
    result = num1 / num2
except ZeroDivisionError:
    print("2つ目の数値はゼロ以外である必要があります")
    exit()

print(f"結果: {result}")

# 各処理でのエラーが明確に分かる

リソースの解放にはfinallyを使用する

ファイルの操作やデータベース接続など、リソースを使用する場合は、finally節でリソースを確実に解放するようにしましょう。

file = None
try:
    file = open("sample.txt", "r")
    content = file.read()
    print(content)
except FileNotFoundError:
    print("ファイルが見つかりません")
finally:
    if file is not None:
        file.close()
        print("ファイルを閉じました")

# ファイルが存在する場合の出力:
# (ファイルの内容)
# ファイルを閉じました

# ファイルが存在しない場合の出力:
# ファイルが見つかりません
# (file.close()は実行されない)

まとめ

Pythonの例外処理は、エラーを適切に管理してプログラムの安定性を高めるための強力な機能です。

例外処理の基本要素

  • try: エラー検出のための監視ブロック
  • except: 特定の例外に対応する処理
  • else: 正常実行時の追加処理
  • finally: 確実に実行すべき終了処理

実践ポイント

  1. 具体的な例外クラスを指定して、エラーの種類ごとに適切に対応する
  2. try文の範囲は必要最小限に保ち、エラー発生箇所を特定しやすくする
  3. リソースの解放には必ずfinallyブロックを活用する
  4. エラーメッセージは具体的で分かりやすく設計する

例外処理を適切に実装することで、予期せぬエラーに強く、ユーザーフレンドリーなアプリケーションを開発できます。実際のプロジェクトでは、状況に応じた例外処理戦略を選択し、堅牢なコードを作成しましょう。

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