プロジェクトマネジメントは体系的に学ぼう

Project Management

はじめてプロジェクトマネジメントを担うとき

エンジニアが初めてプロジェクトマネジメントを任された際、「これまで優秀なエンジニアだったのに、なぜかうまくいかない」という話はよく耳にします。そのエンジニアが高い技術力を有していても、プロジェクトマネジメントという新たな分野で成果を出すには、異なる能力や知識が求められるためです。

深掘りしてみると、多くの場合、プロジェクトマネジメント手法を学んでいなかったり、本や体系的な資料で知識を得ずに「自己流」で進めていることが原因として浮かび上がります。プログラミングスキルを独学で磨くエンジニアは多くても、プロジェクトマネジメントに関しては学習機会や意欲が少ないことが、この現象の本質といえるでしょう。

プロジェクトマネジメントで考慮すべき要素

それでは、プロジェクトマネジメントを行う上で、具体的にどのような要素が必要なのでしょうか。プロジェクトマネジメントに関する国際的な標準ガイドである「PMBOK」では、以下の領域が重要とされています。

  • 統合管理:プロジェクト全体を統合的に調整・管理する
  • スコープ管理:プロジェクトで扱う範囲と内容を明確にし、変更をコントロールする
  • スケジュール管理:適切な工期設定やスケジュール調整を行う
  • コスト管理:予算策定・支出管理を通じてコストを適正化する
  • 品質管理:成果物の品質を計画し、一定水準を維持・向上する
  • 資源管理:人材や物理的資源を最適に割り当てる
  • コミュニケーション管理:ステークホルダー間で円滑な情報共有を図る
  • リスク管理:発生しうる問題を特定・評価・対応策策定する
  • 調達管理:外部資源の調達・契約を計画的に進める
  • ステークホルダー管理:関係者を特定し、その利害や期待を適切にマネジメントする

これら多岐にわたる要素を独学で網羅的に学び、即座に実践するのは容易ではありません。むしろ、専門書や体系的な教材から学ぶことで、よりスムーズに理解・習得できるはずです。

結論

プロジェクトマネジメントは、プログラミング同様に「学習・訓練を要するスキル」であり、決して経験則や勘だけでは乗り切れません。技術を磨くように、プロジェクトマネジメントも体系的な学習によって身につけ、プロジェクトを成功へと導いていきましょう。

疑問

こうした問題が生じる背景には、「エンジニアとして経験を積んだら、自然なキャリアの延長としてプロジェクトマネージャーになる」という風潮があることも一因でしょう。確かにプロジェクトマネージャーには技術的な理解が不可欠ですが、必要とされる能力はエンジニアリングスキルとは性質が異なります。技術力はそのまま強みになる一方で、コミュニケーションや交渉、リスク評価といったまったく別種のスキルセットが求められるため、このギャップは想像以上に大きいと感じます。

タイトルとURLをコピーしました